
このエントリーについて
先日のBenQアンバサダー向けイベントの後、自宅にモニター用のSW2700PTが到着した。
2週間程度の短い時間ながらも、自宅の環境で色々試せるのはなかなか無いチャンス。帰宅が夜遅くになって週末くらいしか時間が取れてなかったけど、できる限り使ってみた。
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BenQ 27型WQHD/QHDカラーマネジメント液晶ディスプレイSW2700PT | BenQ Japan
自宅の環境は1台のデスクトップPCに2台のディスプレイを繋いだ〝デュアルディスプレイ〟環境。使っているデスクトップPCのグラフィックボードにDVI端子が二つ付いているので、前回ディスプレイを買ったときに前のディスプレイを処分せずに使っている、と言う状態。
[カギ] 自宅デスクトップPCをIntel® Core™ i7-4930K Processorで組んだ | カギログ
そこで使っていたはBenQのE2200HD。モニター期間中はこのE2200HDをSW2700PTに変更して使ってみる。
BenQ Makes Move in Vietnam Market | BenQ Japan
E2200HD発表時の記事(2008年8月26日)
E2200HDを調べてみたら2008年の製品。8年半も前の商品でBenQのホームページにも詳細ページがなくなってる。BenQアンバサダーイベントへの申し込みの際に改めて自分自身がBenQユーザだったことを思い出したくらい、このディスプレイ(E2200HD)がBenQ製である事を忘れてた。
今日、BenQイベントでもらったタオルは今治やってん。 #後ろは長年使とるE2200HD #BenQアンバサダー pic.twitter.com/IGadv7fKBH
— ユースケ (@usklog) 2016年11月27日
確か自宅デスクトップPCにBlu-rayドライブを取り付けた際、それまでに使っていたディスプレイだとBlu-rayを再生できないことがわかって急遽Amazonで発注、翌日には届いた記憶。
当時20,980円。その前からBenQが手頃な値段のディスプレイを提供しているのは見ていたので「高性能ではないけど品質がシッカリした低価格のラインアップが多いメーカ」の印象だった。
先日のイベントで高い性能を必要とするユーザをターゲットにした商品が主力になりつつあることを聞いたが、相変わらず抑えられた価格での商品提供がされているので好感が持てる。
[カギ] BenQアンバサダーイベントでフォトウォークしてカラーマネジメントディスプレイSW2700PTを体験してきた #BenQアンバサダー | カギログ
SW2700PTとE2200HDの比較とSW2700PTの印象
なかなか使ってるUXを伝えるのはなかなか伝え難いものの、わかり易い指標としてスペックを比べてみる。
SW2700PT | E2200HD | |
---|---|---|
ディスプレイサイズ | 27.0インチ | 21.5インチ |
解像度 | 2560×1440(WQHD) | 1920×1080(FHD) |
コントラスト比 | 1000:1 | 1000:1 |
反応速度 | 12ms | 5ms |
反応速度(GtoG) | 5ms | 2ms |
輝度 | 350cd/sqm | 300cd/sqm |
消費電力 | 65.0W | 45.0W |
サイズ(高さ) | 566.7mm | 407.8mm |
サイズ(横幅) | 652.8mm | 522.8mm |
重量 | 8.3kg | 4.8kg |
インタフェース(D-sub) | × | 1ポート |
インタフェース(DVI) | 1ポート | 1ポート |
インタフェース(HDMI) | 1ポート | 1ポート |
インタフェース(DisplayPort) | 1ポート | × |
画面回転 | ○ | × |
やっぱり、まず目に見えて違いを感じるのはディスプレイサイズと解像度。これはカラーマネジメントディスプレイじゃなくても言えるのだけど、解像度が高いこともフォトグラファー向けディスプレイとしては重要なポイントの一つではあると思う。
リプレイスしたBenQ E2200HDは21.5インチで、もう一つのディスプレイは24.0インチなので現在手元にある3台の中で一番大きなディスプレイとなった。解像度が高いのでデスクトップは広く感じるし、表示されているものが細かく、全体を見渡せるので快適。
入力端子としてD-sub、DisplayPortは使っていなかったので大きく利用には影響がない(これまでもDVI接続にしていた)。
反応速度
反応速度の違いは〝慣れ〟が影響するので引っ掛かりを感じた。逆に〝慣れ〟なので使い続けていたら大丈夫になるかも。
ゲームをPCでやっている人が使ったら(多分それまで使っていたディスプレイの反応速度が高いだろうから)違和感を覚えるかも。特にデュアルディスプレイで常に見比べられちゃうと速度差があるのは辛いはず。反応速度を遅い方にあわせてしまって、それに慣れた方が気持ち良いかもしれない。
写真を扱う時にはこれらの〝慣れ〟を取るか、広色域などの性能を取るかで決めた方が良い(「両方!」ってなると価格がガンって上がると思う)。特に今、市場にあるのはそういった特化した(価格も特化するポイントの一つ)商品が多いので上手く使い分けるのが賢い。
DVIケーブル
これまで使っていたE2200HDともう一台のディスプレイの解像度は1920×1200以下。今回お借りしているSW2700PTは2560×1440。1920×1200を超える解像度の場合にはDVIケーブルはシングルリンクではダメでデュアルリンクのモノが必要ってことを始めて知った。
シングルリンク | デュアルリンク | |
---|---|---|
対応している解像度 | ~1920×1200 | ~2560×1600 |
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Digital Visual Interface – Wikipedia
モニター期間中は貸し出されたSW2700PTに付属のDVIケーブル(デュアルリンク)を使えるので本当は問題ないのだけど、今後高解像度のディスプレイを購入した時用についでに購入しておいた(別に低解像度のディスプレイにデュアルリンクのケーブルを使っても支障が無いようなので)。
色々見ている限りで、早めに手に入り、低価格なのは結局Amazonベーシックの商品だったのでこちらを2本購入して自宅環境としてリプレース。
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Amazon.co.jp: Amazonベーシック ディスプレイケーブル DVI-Dデュアルリンク 2.0m HL-002573: パソコン・周辺機器
Amazonベーシックの奴なのでケーブルは太く硬いけど、そんなに取り回さないし、デスクトップPCなので接続した後は触らないだろうからこれで問題ないと判断。
SW2700PTとSX2462Wの比較
モニター期間中にSW2700PTとコンビになるのはEIZO(購入当時はNANAO)のFlexScan SX2462W。こちらもAdobeRGBカバー率が高く(98%)、DisplayPortのみだが10bit入力に対応した広色域のディスプレイ。sRGBモードもあるみたい(あまり使ったことがない)。
何もわかってないまま購入したディスプレイで今回のBenQアンバサダー向けイベントまで〝カラーマネジメントディスプレイ〟の意味がハッキリとわかってなかった。それを知りたくて今回のイベントに参加したところもあるのだけど。
スペックはこんな感じ。長く使っているので自分が見ている範囲では現像時に「どうすればどこに行き着くか?」がわかっているので気に入っているディスプレイ。
SW2700PT | SX2462W | |
---|---|---|
ディスプレイサイズ | 27.0インチ | 24.1インチ |
解像度 | 2560×1440(WQHD) | 1920×1200(WUXGA) |
コントラスト比 | 1000:1 | 850:1 |
反応速度 | 12ms | 13ms |
反応速度(GtoG) | 5ms | 5ms |
輝度 | 350cd/sqm | 270cd/sqm |
消費電力 | 65.0W | 48.0W |
サイズ(高さ) | 566.7mm | 381.5mm |
サイズ(横幅) | 652.8mm | 566.0mm |
重量 | 8.3kg | 10.1kg |
インタフェース(D-sub) | × | × |
インタフェース(DVI) | 1ポート | 2ポート |
インタフェース(HDMI) | 1ポート | × |
インタフェース(DisplayPort) | 1ポート | 1ポート |
画面回転 | ○ | ○ |
通常はSX2462Wを(Lightroomの)セカンドディスプレイにして、それを全画面表示で見ながら現像作業をするのが通常のフロー。このモニター期間中はSW2700PTをセカンドディスプレイにして画像確認に使うので、SX2462Wをメインディスプレイに。
見た目の違い
キャリブレーションがキチンとされていないだろうし、相手が古いディスプレイだし、解像度も異なるので意味があるかどうかわからないけど比較。
主に見た目の違いを比べたかったのでディスプレイをカメラで撮影したものを掲載した。
同じ画像の色の違い、切り替わる速度の違い
SW2700PTをモニターする前の環境で現像した写真を2画面で同時表示。
やり方はLightroomを開き、右のSW2700PTをセカンドディスプレイにして全画面表示、左のSX2462Wもキーボードの「F」を押して全画面表示。スライドショーのように両画面が切り替わったら画像をカーソルキーで切り替えてデジカメで動画撮影、と言うもの。
(↑の画像はクリックで大きくしないとわかりにくいかも)
そもそもの写真を撮るときの力量、現像の力量、デジカメで画面の状態を見せる為のこの動画を録るときの力量がそれぞれ伴ってないので伝えきれないけど、各ディスプレイに映し出された画に違いがあるってことはわかるはず。
現像時の見えている色の違い
それぞれのディスプレイで自分の〝こうしたい〟に近づけて現像したものを比較。結局、同じに見えるように調整し切れていないのだけども。
持っているRAWファイルの内、結局ボツにしたものを選んで改めて一から現像してみた。
最初は普通にSX2462Wを見ながら現像したモノを見てみる。オレンジっぽくなってほしいのにSW2700PTでは黄色っぽく、明るく映っている印象。
次にSW2700PTを見ながら持って行きたい画像に各パラメータを変更。
本当はどちらのディスプレイを見てやる場合でも見た目を同じに調整したかったのだけど、どうもコントラストと明るさを求めたときに色が上手く調整できない(露出と色は別々に操作できると思ったんだけどなぁ…)。ただ、SW2700PTを見ながら調整を進めていくとSX2462Wでは赤みが強い画像になった、という事実はわかる。
SW2700PTを見ながら現像した画像をセカンドディスプレイ(SW2700PT)にロックし、選択画像はSX2462Wで調整した画像を表示(SX2462W)。
左右が寸分狂わず同じように調整されていれば良いのだけど〝ある程度〟までしか出来てない(SW2700PT側が黄色がかる)ので完全な比較にはなってない。
「○○LIGHTS ○○たち-」の看板みたいなところの明暗のグラデーションがSW2700PTでは極端になってしまう。この辺りはディスプレイの輝度の問題かもしれないけど不明。ここの調整が上手く出来なかったし、一番近いモノにしたときに(なぜか)色が伴わない。
最後に気のせいかもしれないけど、SW2700PTではディスプレイを真っ直ぐ見ないときに周りが白く見えちゃう(SX2462Wでは感じなかった)。SW2700PTのディスプレイをデジカメで撮影した写真では上手く表現しきれないけど、実際にはもっと白みがかる範囲が広い。
視野角的な何かなのかも知れないし、詳しいことはわかっていないけど、肉眼だともっと少ない角度で白っぽくなるのでこういうポイントが気になる人は秋葉原のショップ等で見てみるのが良いかも。
繰り返しになるけど、このエントリーで「SW2700PTが赤みの発色が良くない」とか「黄色く映る」とかを言いたいわけじゃない。自分の持っているディスプレイが赤く映らせたり、黄色が出難かったりするのかもしれない。
同じく色域が広いディスプレイであっても、きちんとキャリブレーションがされていないと素人の自分でも見た目に結構な違いが出ることに気付ける。
モニター機として貸し出されたSW2700PTはそれなりに調整がされているのでRAWファイルが持つ情報を用いて正しい色での表示が出来ているはず。それと比べて自宅のディスプレイ(SX2462W)で映し出した画像の見た目が大きく異なるということは調整がきちんとなされていない証拠。
SW2700PTをモニターするまで、なんとなく現像作業して、なんとなく写真を印刷してた。これまでは「印刷の工程で少しイメージしたのと異なってしまうのは仕方ない」と諦めていた。しかし、正しく設定してカラーマネジメントディスプレイを使えば自分のイメージがストレートに印刷物になって返ってくる。それを考えただけでも楽しみなディスプレイ。
仮に印刷をする機会が多くない場合でも〝高解像度で映し出される〟〝正しくRAWファイルに記録された情報で画像が映し出される〟というだけで自分の眼を鍛えることになる。
現像をしているときに「今度撮影するときにはここに気をつけよう」「ここをこうしよう」という思いが巡る。正しい色で表示がされればその目標とする画像のイメージが更に明確になるはず。そんな単純なところでも写真撮影が好きな人のステップアップにはとても良さそう。
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BenQアンバサダープログラム